レッド・ベルベットの2巻が出ました。お買い上げくださった方々には本当にありがとうございました。サイン会も、コミケも、遠いところをわざわざ来ていただいて、お菓子やお手紙をいただいて、お話ができて、とても嬉しかったです。私はただ漫画や絵を描きたかっただけ。描きたいという気持ちは崇高だなって思ったこともあったけど、ある日大学へ続く道を歩きながら、それはエゴなのかもしれないと思いました。お金が欲しいとかいい靴が欲しいという気持ちと変わらないんです。結果として描き上がったものが残り、それを愛でてくれる誰かがいる。時に対価を支払ってくれる。そんな人たちのことを好きになってしまうのは自然なこと。
12月23日に単行本の2巻が出せた。こんなに嬉しいことはない。単行本の応募券も、サイン会も、忘年会も、思いつくことはなんでもやってみた。大学の仕事や原稿や家事の合間に一人で会議をしてどんなことができるだろうかとアイデアを全て書き出した。サイン会の会場代も自分で支払った。忘年会のチケットの宛名も書いた。今は家の人に手伝ってもらいながら冬コミの通販をやっている。通販は専門の書店に委託するのが手っ取り早いけど、コミケ会場で売る値段では売れなくなるから手作業で送ってる。それくらい、2巻が出たことが嬉しいんだよって伝わるといいなって。
今は個展で飾る絵を描いている。そのせいでtwitterにデジタルの新しい絵が上げられない。少し焦るけど仕方ない。プリントの手配やフレームの手配も自分たちでしなくちゃいけないからとても大変。お金もたいそうかかる。でもお正月は古い映画を見ながら絵を描いて少しゆっくり過ごした。今日はギャラリーで食べてもらうレッド・ベルベット・ケーキの手配をした。本当云うと味は普通のココアのケーキとそう変わらない。フロスティングはクリームチーズが入っていてちょっと重い。バタークリームよりそっちの方が合うんだろうね。なんでかな。そういえばサイン会の時に、雪風の設定資料に出てきたクマのぬいぐるみのことを訊かれた。どこのメーカーなのかって。シュタイフを参考に描いたけど、ピンクの毛の気に入った形のはなくて創作なんだって伝えた。モデルがあるなら買いたいとも仰ってた。私が思うよりずっと、みんなは雪風のキャラクターなんかが好きなんだなって強く思った。私は今まで描いてきた作品のキャラクターは全て自分の中で完結しているものだと思っていた。受け入れられている気がしないから。でももしかするとキャラクターも誰かの人生の中にちょっとは入り込んでるのかなって。みんなが聴きたいと思う曲をライブでやらないバンドはどうかしてるって思う。そんな感じで、みんなが見たいキャラならちゃんと描かなくっちゃって。雪風の2巻の話をいまだにされるけど、会社が云って来なければ描けないのは本当だけど、じゃあ私が積極的に何かをしたのかと云うと、何もしてないなって思う。人が望むことがわかっていて叶えないのはバカだから、もうちょっと何かしなくちゃって。ただ待つのはやめるって誓ったじゃないの。だから何かしなくちゃ。