漫画を描き始める前に頭の中にあったこと

相変わらず大学ノートやiPhoneのメモにはほぼ毎日日記を書いている。仕事はずっと切れ間がなくて、漫画とイラストの仕事がサンドイッチ状態だった。それ以外の細かい仕事も大きい仕事もあって、5月からは大学のオンライン授業が始まった。毎週会議室を借りては配信用の動画を撮り、課題の添削と合わせて、週に3日は潰れてしまう。考えてたよりラクじゃないけど、早く慣れて効率のいい授業をしなくちゃと思う。

連載の漫画は、毎回毎回お話をまとめるのに四苦八苦している。苦しいのはお話がうまく作れないからじゃなく、思いのほか長く描いてしまったお話の、綻びがないか思い出したり読み返したりすることだ。描き終えた漫画はあまり見たくない。思い通りになってなくて恥ずかしい。ただ恥ずかしいだけ。技量が足りてなくて居心地が悪いだけ。でもそれでも漫画を描くのが好きなんだ。小学校の1年か2年生くらいの頃から頭の中にキャラクターがいて、私の日常の面白い出来事や印象的なシーンをその人の性格や振る舞いに反映させてお話にしていく遊びが好きだった。毎日寝る時間になったらその人のお話の続きを考えた。お話を残す方法がないからすべて頭に記憶して、次の日の夜にその続きを考えた。たまに絵に残すと母親に見つかって破り捨てられて説教されたから、また記憶に残すということの繰り返し。今でも頭の中の妄想を絵にして残すことは、人様にとっていいことじゃないと思ってるのかもしれない。今もし母親が生きていて、私が描いている漫画を読んだとしたら、きっとまた破り捨ててしまうに違いない。妹も私の漫画が嫌いだった。なんでだろう。だからちょっと、今でも、漫画を描くことは後ろめたい。誰かに迷惑をかける内容でないなら、何を思って何を描いてもいいじゃないって思うんだけど。

Twitterではあまり文章を書かなくなった。批判やネガティブなこと、政治的なことや誰かの生き死にのこと、思ってもないのに調子を合わせること、その他のセンシティブなこと。それらを書かないと決めたら絵とご飯のことだけになってしまった。それもしょうがない。でもここは私の日記だから、好きなことをちょっと書いてみよう。大学の春休みに入ってからこっちは毎日のようにテレビで映画を見ている。見たことないのも、何十回も見ているのも、どれも楽しい。最近よくわからないと思った映画はファントム・スレッド。わからんでもないが、私がこれをわからなくても、まあいいか、という感想。期待してなかったけどなんだか泣けたのがワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド。タランティーノはシャロン・テートが大好きなんだ。きっと彼女を幸せにしてあげたいと思ったんだ。昔のロサンゼルス 郡の風景も涙が出るほど美しかった。なんでG.I.ジョーとイコライザーは2ばっかりやって1をやってくれないのかなとか、アイアンマン以外のジェフ・ブリッジスの映画やって欲しいとか、文句ばかり云ってるけど概ね幸せ。

追記じゃないけど文章のことを。文章を書くときと絵を描く時は同じで、頭の中に人や物や、何か実像があって、それを眺めながらどんな風に表現すればこれが伝わるかなって考えている。誰かと触れ合って肌に密着する感じってどう伝える?上顎にオブラートがくっつく感じ?コップに水風船を入れたような感じ?どっちもキレイじゃないよな、って。文字でも絵でも何かを描写する時は目を閉じて頭の中で観察する。目を閉じた方がより鮮明に見える。

絵でも文章でも嘘が云えればよかった。ただそれだけ。私は世の中に合わせていけない駄目なヤツ。

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2 Responses to 漫画を描き始める前に頭の中にあったこと

  1. 小林 優子 のコメント:

    そんなに毎日お忙しいのに、仕事と、漫画を続けられて尊敬します。
    自分も若かりし頃は目指したことも有りましたが、紙に書き写すまでに
    情熱が冷めてしまい、いつも中途半端で放り投げたクチです。

    なので、先生がまた戻って来てくれて嬉しいし、とても真摯に頭の中で
    お話のこと、仕事の事、観た映画の事その時、その時、真正面から向き合って
    いて、真面目に考えてる日々が垣間見れて、出歯亀根性丸出しですが、楽しいです。

    映画のコメントが、ツボでした、アレコレ書きたくなりましたが、長くなるので
    辞めます。概ね同感です。
    俳優のジョセフ・ゴードン・レビットをご存じですか?
    彼をみてると、先生の絵のキャラみたいだなぁ・・と、観るたびに思います。

    すいません、長々と、赤の他人からのコメントを。
    忙しそうなので、お体ご自愛ください。漫画楽しみにしています。

  2. tadayumi のコメント:

    コメントをありがとうございました。こんな日記読んでくれる人はいないよなって思ってたので驚きました。とても嬉しいです。日記もイラストも漫画も料理も全て表現の方法なので、どこをみていただいていても伝えたいことが伝わる気がして幸せです。ジョセフ・ゴードン・レビットさんは存じております。クリフトファー・ノーラン作品での頭のいい役所が大好きです。コンパクトな体躯が好きなのでいつか描いてみたいですね。

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