9月売りののレッド・ベルベットを描き上げた次の日から、毎日朝の8時から夜中の3時まで働いて、iPad Pro+Procreate マンガ・イラストの描き方という本を書き上げた。毎日画像がぼやけて見えなくなるまで絵を書き出したり、文字を打ったりした。漫画の原稿の直後だったからとても辛かった。大学も専門学校も授業が始まっていた。入試や懇談もあった。毎日眠くて9月の記憶はあまりなかった。誕生日のケーキを買ってもらって、歌を歌ってもらって、ろうそくを吹き消したことを覚えている。
レッド・ベルベットの23話を描き終えたので、次は最終話を描かねばならない。連載を始める前に編集部に出したお話の流れその通りに、始まった話を終えようとしている。今は最終話の構成や演出を考えている。何度も書いてしまうけど、漫画を描き続けるために何かできることをと考えてイラストを描いている。漫画を描くためにiPadやProcreateを死に物狂いで学び、失敗して泣いては立ち上がることをやめないでいる。イラストが私より上手い人は本当にたくさんいる。漫画もそうだ。私の漫画の師匠は今の漫画の中にはいないけど、きっとそうだ。上手くなろうとは思ってない。ただ純粋に漫画を描くのが好きで、続けたいから、イラストも学校の仕事もなんでもやる。お金にならなくても、漫画の助けになるのならいくらでも描く。クロッキーにも行く。純潔じゃないと飛べないと、バーディーの映画の中で云ってたように、ストイックじゃないときっと描けなくなってしまうんだ。ずっとそれが怖い。まるで信仰心をなくすようで怖い。だけど時々、感想をしたためてくれた手紙を読んでは、胸が詰まって泣いてしまう。赦された気持ちになる。自分は悪い人間で、漫画をただ描きたいと云う気持ちはただのエゴで、周囲をそれに巻き込んで、それは罪深いことに違いないから、赦しがあると泣けてしまう。
一番自信が持てるのはご飯を作っているとき。いつも同じものばかり作っているけど、自分で食べて美味しいから幸せになるし、家族も美味しいと云うから、よかった、みんな幸せそうだと思える。漫画作品は客観視できなくて、ご飯を作るようにはいかないけど、毎月こんなに骨身を削ってお話を組み立てているんだから、多分大丈夫だと思う。自信なんて蜃気楼みたいで、近づけば逃げてしまう。